西暦2000年の到来を目前に控えていた頃、世の中はライカに代表されるクラカメブームに沸騰していました。当時ニコンでは銀塩フラッグシップF5を頂点に同社初の次世代デジタル一眼レフD1を登場させた時代でした。\rそんな頃、私達カメラ好きの間でいつからともなくある噂が囁かれるようになったのです。「ニコンから凄いモデルが出る」そんなワクワクするような話しは希望的観測を含んだ熱を帯びて私達の溜まり場には日夜たくさんの酒と煙草が必要な程でした。やがて噂は真実となって天上から降臨してきたのは往年のレンジファインダーカメラ(以下RF)の名機S3限定復刻版という驚愕の製品だったのですが、誰もが抱く素朴な疑問、つまり「なぜ今、時代遅れのRFなのか?」にニコンが返した説明は「先人が残した技術の再生と未来への継承」というものだったのです。往時のカメラを復刻するのはビス1本から設計し精緻な工作・組み立て技術が求められるのは必至であり、それに応えるべく選りすぐりのエンジニアが水戸ニコンの製造ラインに携わったのです。そして西暦2000年、それはNikon S3 Limitedとしてシルバーボディ定価480.000円(税別)期間限定販売数8.000台で発売されました。巷間、多くのマニアがこれを求めて競うようにカメラ店に急ぎ駆け込んだのは言うまでもありません。その後、ファンの熱望に応えて2002年には黒ボディが2.000台のロットを以ってS3 Limited Black Editionとして定価530.000円で発売されました。そもそも1958年に誕生したオリジナルモデルのS3は35/50/105mmの3つのブライトフレームを持ち一度は生産終了となったものの1964年の東京オリンピックを記念して翌年に黒ボディに50mm F1.4を付けたS3オリンピックが再生産され、それが今回のS3 Limited Black Editionのお手本となったのです。この度出品したモデルは新品・未使用でキズ・スレ・ヘコミ等は皆無、電子部品を持たない完全機械式ゆえ機能的には全く問題はありません。美しいブラックペイントのボディ・レンズ・キャップ・フード・本革ケース・保証書・取説等が元箱さらに外箱に入っているまさに工場出荷状態で絶対の自信を持っての出品となります。この機会に是非ご検討の程宜しくお願い致します。